新たに紡がれる家族のストーリー。細部までこだわり抜いた青葉台の戸建てフルリノベーション

青葉台の閑静な住宅街の一軒家に住まう渋川様は、高台に建つ見晴らしのいい中古戸建を購入しフルリノベーションしました。お住み替えの一番のきっかけは、3人のお子さまが通う小学校との距離。公共交通機関を使って自分で小学校へ通えることを条件に、慣れ親しんだ横浜市青葉区周辺エリアで戸建て物件をお探しになりました。これまでもライフステージの変化ごとに引っ越してきた渋川様ご一家。「次に引っ越すならこだわりたい」と、建築家との家づくりを選択するに至ったそうです。

住み替えの背中を押してくれた田都会との出会い

渋川様と建築家・松田毅紀さん(HAN環境・建築設計事務所)の出会いは、奥さまが偶然見つけた田園都市建築家の会(以下、田都会)のFacebookページ。「木が素敵で、そこに緑があってっていう自然な感じだったんですね。それが、あぁいいなと思って」とご主人。
また、今回特に難しかったのは、資金面のスキーム。もともとのお住まいの売却と同時に新しい家の購入、という難しさは、田都会・ディレクターがサポート。見事な調整により、間に仮住まいを挟むこともなく、スムーズに引っ越しが完了しました。
「田都会に伺ったら、皆さん良い方で。すごく気持ちの良い出会いだったので、住み替えが自分たちにとって良い道なんじゃないかって思えたんです」(奥さま)。こうして渋川様の家づくりがスタートしました。

これまでの家の思い出も抱えつつ、新しいお家へ

当初は、元の間取りをもっと残す予定でしたが、気持ちのよい暮らしの実現を考えていった結果、玄関や階段の位置までも変えるフルリノベーションをすることに。「誰かが決めた住居空間ではなく、自分たちのスタイルにあった空間で過ごすことで、無駄な動きが減り、快適な住まいにすることができるんじゃないかと考えていたんです」という奥さまの強い思いが反映されています。一方で元の物件を完全解体しての建替えではない、リノベーションという選択は、資金面でのメリットと共に、「もともとあったものは活かしながら」というお考えがあったとのこと。

「古い柱を塗装するかとか穴が空いているのをどうするかと言っていましたけど、松田さんの家の木の感じが良かったので、結局削るだけ削ってそのままにしました」とご主人。構造上取り払えなかった柱も「大きな空間にしたかったので、なかったらいいのになと思ったんですけど、時計を付けたりとか逆に柱っていいですね」とリノベーションゆえの制限もむしろ楽しさに変えているご様子です

端々に前の家での思い出も引き継いでいる渋川様邸。タオル掛けやドアの取っ手の一部は、前の家の庭で大きくなった木々を剪定した際に出た、枝の皮を剥き手作りしたものです。

また庭には、オリーブやジュンベリーなど、前の家の庭にあった木々が植えられています。特にレモンの木はかつて奥さまからご主人の誕生日にプレゼントされたものという特別なもの。「家族として持ってきました」というご主人の一言からは、渋川様ご一家のぬくもりを感じました。

“どう過ごしたいか?”を見事に形にした有機的な空間

素材は、無垢の木材や漆喰、オガファーザーなど、すべて自然のものを使用。竣工から1ヶ月ほどの時期にお邪魔しましたが、玄関に入った瞬間、木の良い香りに包まれました。

こだわりの「抜け感」は、LDKから延びる階段の吹き抜けに作られた大きな窓、その先の眺めの良い景色からの明るい日差しで見事に実現されています。

また、玄関と洗面室、ウォークインクローゼット以外の壁はすべて、異なる壁色に仕上げています。「その空間でどんな風に過ごしたいかをイメージしながら色を決めていきました」と奥さま。

同じ空間であるLDKでも、落ち着いて過ごしたいリビングスペースでは濃いめ、朝日を浴びて朝食を食べるダイニングスペースは明るめと、黄色を3色グラデーションで使用。さらに吹き抜けは緑色へと変化していくのですが、その色使いの中にすっと自分が溶け込むような心地よさ。「全部白色だとまた違った空間になったと思います。実は白よりも色がついているほうが人は空間を広く感じるそうですよ」と奥さま。

壁色を変えながら、和室やロフトなど、ポイントごとのスペースが作られた渋川様邸。「来客の際、同じ空間に居ても干渉しないので、それぞれがくつろげるのがいいですね」(奥さま)。「家族で集まる場所が増えました。和室でみんなで洗濯物を畳んだりとか、2階の本棚横で本を読んだりとか」(ご主人)。お子さまたちも、いろいろな雰囲気の空間を楽しんでいるようです。

家族が気持ちよく過ごすための気配りは他にも。

ダイニングスペースから一段下げたリビングスペースとの境、また、リビングスペース内に設けられたベンチは柔らかなカーブを描いています。「家って直線で囲まれていることが多いと思うのですが、実は人間は直線ばかりの環境にいるとしんどく感じることがあるらしいんですね。そこで私たち家族にとって心地よい空間ってどんな場所だろう、と考えた時に“曲線がひとつのヒントになりました。家の中の様々な空間に曲線を散りばめることによって、私たちにとって有機的な、落ち着く空間になりました」(奥さま)。イメージしている曲線を職人さんに伝えるのが難しくて、自分たちで段ボールの型をつくって説明もしたそうです。

驚きのこだわりは、スイッチの位置にまで。あえて一般的な位置にはせず、低めにつけることで、空間に広がりが生まれ、規格的な空間に支配されない、暮らす人が主体となる心地よさを実現しています。

生活の利便性ももちろん重視。広く取られたウォークインクローゼットにご家族のお洋服をすべて収納することで、家の中に洋服が点在することなくすっきりしました。また、玄関を入ってすぐには、キッチンにつながる小さな窓が用意されていて、お買い物したものをさっとそこに置けば、重い荷物を家の中で運ぶ必要がないという工夫まで。キッチン奥のパントリーも、床や部屋に置きがちになる荷物をすっと収められるので、室内空間の快適さにつながっています。

「自分たちがどう過ごしたいのか」、「そのためにはどんな空間であるべきか」を考え抜き、建築家や工務店と一緒になってそれを実現していった渋川様。思いを見事に実現させる建築技術への驚きとともに、明るく心地よいその空間は、ご家族の思いがたくさんつまっているからこそ出来上がったものであることを実感できるお住まいでした。

家族構成 5人暮らし(子ども3人)
所在地 青葉台
カテゴリ 中古戸建購入+全面リノベーション
敷地面積 230.97㎡
延床面積 134.35㎡
間取り 4LDK+S+ロフト
工法・構造 木造2階建て
竣工年月 2020年6月
建築家 HAN環境・建築設計事務所
問い合わせ 田園都市建築家の会